例の凸凹 Part 1:6畳を四つの部屋にする設計とフレーム
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やりたいことを兼用したいが6畳しかない問題
ものづくりが好きな人は、作ったものをどこに置くかという問題に必ず行き着く。6畳(約9.7㎡)の部屋に、収納・展示・作業・くつろぎを同時に詰め込まなければならない。雑貨を作る素材を仕舞い、作ったものを飾り、手を動かす台があり、そのうえで座ってくつろげる場所がいる。一部屋にそれだけの役割を背負わせると、既製品はどれも噛み合わない。
IKEA やニトリの棚は床面積を食う割に天井までの高さを使い切れず、別々に買い足すと寸法も色も揃わず継ぎ接ぎに見える。ソファはまず既製品では構造の中に取り込めない。ソファは「置くもの」で、棚は「立てるもの」。別物として部屋に並べた瞬間、納まったとしても中途半端となり、作業スペースは皆無となり、見栄えも悪くなってしまう。
全てを解決するには壁の高さを丸ごと使い、ソファまで一つの骨格に取り込むしかなかった。しかし賃貸なので、退去時には全部ばらせることが最初の制約となる。

Fusion 360 で全部を設計してから買う
材料を一本も買う前に、構造を丸ごと Fusion 360 でモデリングした。壁の高さを使い切り、床の専有面積を一切増やさない。各部材の寸法を確定させてから木材を調達した。
骨格は基本的に 2x2 材。ソファ台の中央梁だけ、人が座る荷重を受けるので 2x4 にした。棚の何枚かは片持ち(一辺か二辺だけで支える)にして、凸凹を視覚的に組み込みつつ、ソファに座ったときの視線を広く残しつつ空間を確保する。
そして「接着剤を使わず、完全に分解できる」ことを設計の根とした。フレームのジョイントは一切接着しない。賃貸の退去時に、壁を傷めずに搬出できる単位までばらせることを意識した。

なぜ Kreg のポケットホールを選んだか
ジョイントは Kreg のポケットホール(pocket-hole joinery)で組んだ。端ごとに斜めの穴を二つ開け、隠れた位置からビスで締める。表に金具が出ず、強度が高い。
ポケットホールはスケールできる。この構造には同じ形のジョイントが何百と要る。一つひとつ仕口を切るのは現実的でないが、ジグを当てて穴を開けるだけなら、同じ動作を何百回でも繰り返すだけで済む。組み立ても分解も同じ。

フレームを組む
組み立ては三段階。まずソファ台、次に垂直材、最後に水平梁。下から積み上げるのではなく、荷重を受ける土台を先に決め、そこに縦を立て、横で繋ぐ。部屋の向こうから見ると、この時点でもう完成して見えた。
モデルしても想定外だったこと
設計では左上の棚に中仕切りを入れていた。画面の中では収まりが良かったが実際に組んでみると、その一枚が空間を窮屈にし、背の高い物が入らなくなってしまった。図面では正しく、現物では邪魔だったので外した。
そしてポケットホールの穴あけで、木屑が部屋中に散った。養生はしたつもりだったけれど何百もの穴を開ければ、おがくずは想定した範囲の外まで飛んでしまった。

これからの学び
モデルは大いに助かるが、実物をみて気づくことは多い。Fusion 360 のおかげで材料の無駄はほぼ無かったが、それでも中仕切りのように、画面では正しくても現物でイケていない箇所は出うる。モデルは買い物リストを確定させる道具としては完璧、しかし使い心地を保証するためには仕上げの作業は欠かせなかった。
同じ罠をソフトウェアで例えて言えば、ビルドが通ることと本番で使えることには差分があるのと似ているかもしれない。
そして分解前提の設計は最後まで効いた。 縦材を「最小の反復単位」で設計したのは退去時の分解のためだった。ところがこの判断は、Part 2 で引き出しを作るとき、余った端材がちょうど引き出しの内寸に一致するという形でもう一度返ってくる。最初の設計が意図していなかった所まで、モジュール化の恩恵が受けられた。

フレームはソファを支え、部屋の骨格は立った。けれど棚にはまだ天板が無く、ソファ下は空洞のまま、本一冊置く面が無い。次のver2では、天板と引き出しを足し、実際に使えるようになるところまで。
ver1 の組み立て写真はこちらのギャラリー。